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Ikeno(HQ)
Koinuma(Pianoland)


器商の僕らにとって、ピアノと向き合う時間というのは極ありふれたものだ。お客様には、「いつもピアノの側に居られていいね」なんて言われるけれど、何でもあると、何にもしなくなるのと同じで、それがいつも溢れていると、本当は凄いはずのものを、何とも思わなくなってしまう。

 ただ、それが良くないとは言えないところもある。冷静にそれらの良さとかを伝えるDSC01443.JPGためには、良い意味で「冷めた」感覚が必要になる。でも、本当にそれだけでいいの?と聞かれれば勿論それは「NO!」である。僕らはピアノを売る「セールスパーソン」である前に、ピアノの楽しさを皆に伝える「エヴァンゲリスト(伝道師)」でなければならず、「ほら、実はピアノはこんなに楽しいんだ!」ってのを皆に示す使命を帯びている。でも僕らは「神の使い」ではないから声高にショールームでそれを訴えても何となくペテンに聞こえてしまう。情けないけれどそれが現実だし、自分でそれを感じてしまうことも多々あるのだ、勇気を出してそれをやって、お客さんにウケなかったときのショックはハンパではないのだ(笑)。

 僕らがWebTVを始めたきっかけは実はここにある。”エンタテイメント”なんて言葉を使うと、やれ「世界のミュージックシーンを変えた!」、みたいな過去の栄光とか派手な実績なんてものがないと訴求力がないんじゃないかと思われるし、僕らにはそんな派手な実績はない。(個別にはあるみたいなんだけどそれを言ったらただの「自慢話」だから言いたくない、らしい。。)そのかわり、曲がりなりにも30年、他の人には絶対に真似の出来ない真面目さで、黙々とピアノと向き合ってきた「気概」、そしてその対岸にある「溜息」や「仁義」みたいなものだけは売るほどあって、もっと大切なのは今とこれらだということを、誰よりもよく知っていて、それを日々体現している。

 そして何よりも、これらのコンテンツは、売るばかりではいられない「僕らを知ってもらう」宣伝であり、エヴァンゲリストの伝道の「道具」でもあるので、「記録」なんてケチなものではなくて、どうせならエンタテイメントがいい、と考えた。そしてそれらは僕ららしく、ありのままを具体的に「僕らにしか出来ないエンタテイメント」にすれば良く、「出来不出来」なんてものはこの際どうでも良いということ。「なんじゃこりゃ!?」って笑われたって、「笑い」が取れたのだから、その時点で「エンタテイメント」としては既に成功であって、そこで笑った貴方はマンマと僕らの術中にハマったというわけなのだ(笑)。

 そして、皆ピアノが好きでこの仕事に就いていて、ウチのボスはエンタメやアートには人一倍ウルサイってことも、このTVのコンテンツを作る原動力になっている。何時までこれを続けられるかは、まだ誰にもわからない。でも、それらがCMとか、何かのサンプルと成り得る範疇で作られ続ける限りは、ひょっとしたら永遠に作り続けられるのかもしれない。


 だから僕らは「僕らにしか出来ない」何かを「大真面目に」作ってみたい、と思うのだ。「値上げ値上げ」のご時世に、「値下げ値下げ」で頑張っている僕らだから、「不況不穏」のご時世に「エンタテイメント」を作るのだ。難しいことは、後回しなのだ!。

鈴木 俊行 (DPIC Entertainment.)